Amazon Connectのサービスクォータ(制限)について
📅 2020-04-10
Amazon Connectは一般的なPBXと違って、チャネルや席数の制限がないとよく紹介されます。最初から無制限に利用できるというわけではなく、デフォルトの設定値は決まっていて、サービス制限の緩和申請を行うことで上限を引き上げていくことができます。
中には緩和を行うことができない項目もあるので、運用に合わせた設定にできるかどうかを確認したほうが良いです。
この記事は2020年4月時点の情報を元に作成されています。
各種サービスクォータ
項目 | 範囲 | デフォルト値 | 備考 |
---|---|---|---|
AWS Lambda関数の数 | インスタンス | 35 | インスタンスに登録できるLambda数 |
エージェントステータス数 | インスタンス | 50 | 増やすことができない |
Amazon Connectインスタンス数 | アカウント | 2 | 5個くらいまで作成できたような気がします。。 |
Amazon Lexボット数 | インスタンス | 50 | 現状日本語対応していません |
同時呼び出し数(同時通話数) | インスタンス | 10 | 必ず確認! |
同時チャット数 | インスタンス | 100 | 待機中のチャットも含まれます |
問合せフロー数 | インスタンス | 100 | |
オペレーション時間数 | インスタンス | 100 | |
電話番号数 | インスタンス | 5 | 必ず確認! |
プロンプト数(アナウンス数) | インスタンス | 500 | |
キュー数 | インスタンス | 50 | |
ルーティングプロファイルごとのキュー数 | インスタンス | 50 | |
クイック接続数 | インスタンス | 100 | |
レポート数 | インスタンス | 500 | 保存済みレポートもカウントされます |
ルーティングプロファイル数 | インスタンス | 100 | |
スケジュールされたレポート数 | インスタンス | 50 | |
セキュリティプロファイル数 | インスタンス | 100 | |
ユーザー階層グループ数 | インスタンス | 250 | |
ユーザー数(オペレーター数) | インスタンス | 500 | 必ず確認! |
一部を除いてすべて上限緩和を行うことができます。
要件としてクリティカルになる、同時呼び出し数と電話番号数、ユーザー数は必ず構築を行う際に確認をして上限緩和申請をしましょう!
同時通話数(チャネル数)について
インスタンスあたりの同時呼び出し数はデフォルトでは10に設定されています。こちらは制限緩和申請を行うことで増やすことができるので、構築前に必ず確認をしましょう。
これまで私が構築に携わった中では、同時通話数を500まで制限を引き上げたことがありますし、海外では1万席を超えるコールセンターもあるということなので、実質無制限と考えて良いでしょう。
この同時呼び出し数はAmazon Connectの画面からは確認することができないのですが、以下の計算式から現在の設定値を求めることができます。ConcurrentCallsおよびConcurrentCallsPercentageはCloudWatch Metricsです。
(同時アクティブ音声通話数 / 同時アクティブ音声通話数のサービスクォータの割合(%)) * 100
(ConcurrentCalls / ConcurrentCallsPercentage) * 100
1秒あたりの呼び出しレートについて
Amazon ConnectのCloudWatchメトリクスには、ThrottledCallsというメトリクスがあります。これは、以下のように定義されています。
ThrottledCalls 1 秒あたりの呼び出しレートが、サポートされるクォータを超えたためにために拒否された音声呼び出しの数。呼び出しのレートを増やすには、インスタンスあたりの同時アクティブ呼び出しのサービスクォータの引き上げをリクエストします。
Amazon Connectには同時通話数とは別に、1秒あたりの呼び出しレートが設定されています。内部設定値は非公開ですが、同時通話数を引き上げることでこの値も引き上げられるようです。
制限緩和を行うには?
AWSのサポートケースから行います。クラスメソッドさんからアカウントを取得している場合は、メンバーズポータルから申請を行うことで制限緩和を行うことができます。
申請する設定値が大きい場合、正当な理由があるかどうか用途を聞かれることがあるので、むやみに設定値を上げるのではなく少し余裕をもつくらいの値を申請しましょう。
機能の仕様
以下のリストはこれまでのサービスクォータとは違い、仕様として設定値が固定されているものです。
項目 | 機能の仕様 |
---|---|
エージェントコールで同時に聴くことができるマネージャー(同時モニタリング数) | 5 |
問い合わせトレースレコードの保持 | 問い合わせ開始から24ヶ月 |
エージェントあたりのアクティブなチャット数 | 5 |
チャットあたりの合計時間 | 25時間(待ち時間を含む) |
チャットメッセージあたりの文字数 | 1024 |
問い合わせトレースレコードの保持とは
Amazon ConnectではCTR(Contact Trace Record)と言われる、いわゆる通話履歴データです。仕様として24ヶ月までしか保存されません。
これにより何が起きるかというと、問い合わせの検索のページから通話履歴や通話録音を検索・再生ができなくなってしまいます。2年以上の音声データ保存を行う場合などは、別途別のシステム上で通話履歴と録音データを管理することをおすすめします。
ギークフィードはAmazon Connectだけでなく、オフィスの通話や携帯の通話、スマホアプリによるボイスレコーダーの録音データを一元管理できるサービスを取り扱っています!(宣伝)
電話できる国
デフォルトでは国際通話の発信先としてかけることができる国は限られています。
詳しくはAWSの公式ドキュメントを参照してください。
Amazon Connectで電話できる国
まとめ
Amazon Connectはスケーラブルなコールセンターを構築・運用することが可能ですが、仕様制限がある項目もあります。制限が要件と合わないからといって諦めるのはまだ早いです。AWSのサービスと連携することや代替することで、違ったやり方や似たようなやり方で要件を満たせる可能性は高いです。
さいごに、設計と構築を行う前は必ず制限緩和申請を行う必要があるかどうかはを確認しましょう!